『未発売のマンションはどこへ消えた?』

MARKET INFORMATION

【新築マンションは足りない?余っている?】

   住宅ローン金利が過去最低水準あり、住宅ローン減税や地価下落といった要因も加わって、新築マンションの売れ行きが好調と言われる中、この11月に2つの相反するような報道・発表がありました。

一つは、11月15日付の週刊住宅のコラム『ニュースの背景を読む“マンション仕入れ再開 当座の“売り物”不足深刻に“』です。「冬眠状態にあった中堅や新興のマンションデベロッパーの間で、ようやく新規の仕入れを進める動きが出始めてきた。金融危機以前に高値で仕込んだ不良債権の処分にあらかためどがついたことや、金融機関の融資スタンスにも雪解けの兆しが見え始めたことが背景。さらに、長らく仕入れをストップしていたことで売り物が底を付き、当座の売り上げが立たなくなったという緊急の事情もある。ただ、運良く土地仕入れができたとしても、企画・設計から許認可、建設を経て販売できるのは来期以降のスケジュール。多くの企業は足元の深刻な“商品不足”に頭を悩ませている」と報じました。

もう一つは、みずほフィナンシャルグループの不動産専門シンクタンクである都市未来総合研究所が11月4日に発表した『不動産トピックス2010年11月号 “着工されてもまだ販売されない分譲マンション戸数の状況”』です。「過去の推移を参考にして、2005年以降も発売された戸数の割合が85%になるものと仮定すると、着工済みの未発売住戸は首都圏で13万戸に上ります。この中には、事業中止や賃貸等への用途変更もあるものと考えられますが、まだ相当ボリュームの未発売住戸があることが、新規案件となる住宅着工の回復が進んでいない要因となっているものと考えられます。」と分析しています。

  

【新築マンションの偏在と、中止・延期が主因か】

   片方は新築マンションが足りないと言い、片方は在庫がたくさんあると言う。これをどう捉えるべきなのでしょうか。

考えられる理由の一つとして、デベロッパー間の財務格差と、販売期間の長期があげられます。財閥系の不動産会社などの大手は、金融機関のスタンスが厳しくなった後も安定して融資を受けられたため、開発が中断することなく豊富な在庫を抱えているとの見方です。冒頭に記したように、現在は新築マンションの需要が旺盛ですが、飛ぶように売れているわけではなく、販売期間は長期化しています。デベロッパーは売り出しを小分けにして、例えば全体で100戸のマンションなら20戸ずつ5回に分けて販売しています。すると、1回ごとの売り出し戸数は少なく毎回完売するために、人気のあるマンションに見えますが、全部を売り切るためには従来より時間がかかっているのです。従って、大手不動産会社は豊富な在庫を少しずつ売り、中堅や新興のデベロッパーの手元には売り物が無いことになります。

もう一つの理由として考えられるのは、対象地域の違いです。デベロッパーが今必死で探しているのは、東京23区や横浜市などの「いい場所」。一方、都市未来総合研究所が未発売住戸の統計を取っているのは首都圏で、統計対象の範囲がずっと広いのです。今の時代、都心から30km以遠にあるか、あるいは都心から距離的には近くても最寄駅からバス便になるようなマンションは非常に苦戦します。そういったマンションが、未発売住戸として積み上がっているのかも知れません。そうした場所は、地元以外の人の目に触れないため、未発売住戸の存在に気付く人も少ないのではないでしょうか。

ただし、この13万戸という数字自体は、小生の実感より多めです。各社の分譲マンションに関するデータが豊富なR社にも確認しましたが、「(実数を知る方法が無いものの、)感覚として、未発売住戸は最大でも6万戸程度ではないか」とのことでした。この6万戸というのは、年間の新規供給戸数とほぼ同程度です。リーマンショック前に高値で仕入れた土地が多くあるため、分譲マンション事業の中止や延期が過去の統計値より遥かに大きく、マンション化されていないことが、数値が乖離した要因だと考えられます。

  

 首都圏マンション市場の流れ
以上